本音が言える組織の強さと競争力の源泉
リーダーの重要な役割の一つは、本音が言える組織を作ることです。内輪だけの意見では、外部環境に対応することができません。同じ意見ばかりが出る環境では、忖度や空気を読む発言が増え、組織は硬直化します。しかし現代社会では、外部環境の変化に対応し、競合他社やステークホルダーとのやり取りが必要です。そのためには、異なる意見や多様な視点を取り入れることが不可欠です。
社員の本音は、組織の競争力を高める源泉です。本音を引き出すことで、多様な意見が集まり、組織が外部環境と共鳴できるようになります。この本音を引き出すために必要なのが、リーダーの“対話の力”です。
例えば、私の場合、「しいて言うなら…」という問いかけを意識しています。この問いかけには、相手の肩の力を抜かせる効果があります。日本の職場文化では、上司に合わせた意見を言うことが当たり前になりがちです。しかし、「どう思う?」と聞いても、忖度の入った回答しか返ってこない場合があります。そんな時に、「なるほど。でもしいて言うならどう思う?」と軽く問いかけると、相手の警戒心が解け、本音が自然と出てきます。
本音を引き出すためには、対話の空気作りが大事です。相手が「この人になら言っても大丈夫だ」と思える場を作ることが本質です。さらに、「自分の弱さを見せる」ことも有効です。「実はこう思ってるんだけど、どうかな?」と自分の悩みや考えを先に見せることで、相手も「じゃあ、自分も本音を言っていいんだ」と感じるのです。
リーダーが本音を引き出すための対話術を日常のコミュニケーションに取り入れることで、組織は多様な意見を受け入れ、変化に強い体質へと進化していきます。ただし、どんなに多様な意見があったとしても最終的に決断するのはリーダーです。時には重い判断を下さなければならない時もあります。それでも本音が言える組織であれば、反対意見や納得ができない社員がいても理解を共有することができ組織の信頼関係は高まります。