「強みの二軸モデル」で考える中小企業の両利きの経営

近年、経営戦略の一つとして注目されている「両利きの経営」は、企業が既存事業を深化しながら新規事業を探索する二つの軸で成長を目指すアプローチです。しかし、このモデルは主に大企業向けに設計されており、豊富なリソースがあるからこそ成り立つ側面があります。では、限られたリソースの中で持続的な成長を目指す中小企業には、両利きの経営は難しいのか?もちろん可能ですがアプローチをより具体的に絞った方が中小企業には適しています。そこで私が提唱するのが「強みの二軸モデル」です。

◆中小企業における「強みの二軸モデル」の必要性

中小企業の多くは、限られた人材・資金・時間といったリソースを最大限に活用する必要があります。また、既存の収益源を維持しつつ、新たな事業を立ち上げるためには、失敗のリスクを抑えることが重要です。そのため、「既存事業を強化する」と同時に、「強みを活かして付加価値を創出する」という、強みを二軸に分けたアプローチが理にかなっています。

両利きの経営と極めて似た概念ですが、両利きの経営で言うところの「新規事業の探索」を「強みを活かした付加価値の創出」としており、具体的には既存の強みを新たな業種・分野で活用し、新規事業を展開するとした点に違いがあります。

「強みの二軸モデル」は、このような中小企業の実態に即したフレームワークです。

既存事業の強みをベースにしながら、新たな付加価値を創出することで、企業の安定成長を目指します。

◆「強みの二軸モデル」の基本構造

⓵既存事業の強化

定義:既存の事業を強化し、効率化や顧客満足度向上を図る。

たとえば、地域密着型の花屋であれば、SNSの活用やリピーター向けのサービスを充実させることで、短期的な売上向上が期待できます。

⓶強みを活かした付加価値の創出

定義:既存の強みを新たな業種・分野で活用し、新規事業を展開する。

たとえば、花屋が持つ装飾技術やデザインセンスを最大限に活かし、オフィスや商業施設、ホテルなどのインテリアデザインや空間装飾のサービスを提供するなどが考えられます。

◆まとめ

中小企業が「両利きの経営」を目指す際は、大企業向けのフレームワークをそのまま採用するのではなく、自社の強みを核にした「強みの二軸モデル」で考えてみてはいかがでしょうか。

特に中小企業経営者にとっては、「今持っている資産をどう活かすか」という視点が重要です。限られたリソースの中でも、成長の可能性を見つけ出し、未来を切り開くための道筋が「強みの二軸モデル」なのです。

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