強い日本を取り戻す、テクノロジーで外貨を稼ぐ国家戦略
◆ テクノロジーで再び成長の軌道へ
1990年代以降、日本は長期デフレと構造的停滞に苦しみ、「失われた30年」と呼ばれる時代を経験してきました。しかし、2020年以降は人手不足や物価上昇を背景に価格転嫁や賃上げが進み、GDPも600兆円を突破するなど、ようやく経済構造の転換が始まりつつあります。
今こそ日本は、次の30年を「成長の30年」と定義し直し、新たな国家ビジョンを描くべきです。目指すは「外貨を稼げる構造」を持つ、持続可能なテクノロジー大国。
その実現こそが、経済的自立と国力の向上を同時に叶える、日本再生の鍵なのです。
◆ テクノロジーと外貨獲得のロジック
テクノロジー国家が外貨を稼げる理由は明快です。
- 高付加価値の製品やサービスは価格競争に巻き込まれにくく、世界市場での競争力を持つ
- グローバルなサプライチェーンの中核を担えば、部品・装置・知的財産による継続的な収益が期待できる
そして最も重要なのは、産業クラスターやエコシステムの形成です。
国内外から優れた人材・資金・情報・データが集まり、革新的な技術やビジネスモデルが次々と誕生する。これを基盤に、日本企業は世界市場で優位性を発揮し、製品輸出や特許・ライセンス収入などを通じて外貨を獲得できる体制が整います。
得られた利益は国内に再投資され、次なるイノベーションを生む。
この好循環の設計こそ、日本経済の持続的成長と円の価値を支える構造なのです。
これにより、経済成長や国力向上に加え、外貨獲得が円の価値を高め、国際的な経済的地位の向上にも寄与します。
さらに、円の価値が上昇すれば、国債発行の余力も広がり、国内投資や社会保障費への再分配も可能になる。
これは、テクノロジーによる外貨獲得が単なる企業の利益にとどまらず、国全体の財政健全化と社会安定にもつながるという意味で、極めて戦略的な選択肢なのです。
◆ 政府と企業に求められる役割
この未来を実現するには、政府と企業が明確な役割を果たす必要があります。
◎ 政府の役割:
政府の役割は、「外貨を稼ぎ、それを国内に還元する循環構造」が機能するよう環境を整えることです。
具体的には:
- 重点分野への規制緩和
- 研究開発・設備投資への多額の補助金
- 税制優遇
- 大学やスタートアップへの戦略的投資
そして国家戦略として、「2050年までに日本を世界一のテクノロジー大国へ導く」と明言し、民間の挑戦を後押しする旗を掲げることが求められます。
◎ 企業の役割:
企業には、グローバル市場で得た利益を単なる内部留保で終わらせず、次のように国内へ再投資する姿勢と責任が求められます:
- 人材育成
- 研究開発
- 地域雇用
- ベンチャー支援
また、企業は産業クラスターの一員として、他企業・大学・研究機関と積極的に連携しながら、新たな価値を共創する文化と実践を育てていくことが重要です。
この横のつながりが、イノベーションの連鎖を生み、持続的な発展につながります。
◆ 稼ぐ力を取り戻すために
日本が再び持続的な成長軌道に乗るためには、「テクノロジーで稼ぐ国」としての循環構造を国家として設計し、2050年にその完成を目指すことが不可欠です。
産業クラスターが革新を生み、外貨を稼ぎ、
その利益が国内に再投資され、さらに新たなイノベーションを生む。
この好循環こそが、円の価値を押し上げ、国際社会における日本の経済的プレゼンスを強化する最大の戦略です。
政府には明確なビジョンと制度整備を、企業には主体的な行動と国内還元の姿勢を。
この両輪が噛み合うことで、「強い日本」を取り戻す道が、いま確かに見えてきています。
2025.4.18
甘夏ニキ