トランプ関税はどこで終わるのか?“勝利宣言”のシナリオと世界経済の行方

トランプ関税の背景と狙い
2025年、トランプ大統領は大統領再登板後、再び強硬な通商政策を打ち出し、全世界に対して大規模な関税を導入しました。その目的は米国の製造業を国内に呼び戻し、長年続いてきた貿易赤字を削減することにあります。しかし、この“相互関税”は貿易相手国との関係を悪化させ、国際的な分業体制にも亀裂を入れかねない構造を持っています。

報復関税と経済への逆風
各国が報復関税で対抗する事態となれば、トランプ大統領はさらに追加関税も辞さない構えです。こうなってくると世界経済に甚大な影響が出るのは必至です。また関税による物価上昇はインフレ圧力となり、米国の景気を押し下げかねません。その一方で、トランプ大統領は一切の非を認めず、関税政策をあくまで“正義”として貫く姿勢を崩しません。こうした背景のもと、世界経済は不安定な状況にさらされています。

◆ “勝利宣言”によるソフトランディングとは
この政策の出口を模索する上で鍵を握るのは、「トランプがどこで勝利を宣言できるか」です。非を認めることがないトランプ氏にとって、撤退のきっかけは“演出された成功”である必要があります。
たとえば、日本やEUなどの同盟国が象徴的な関税の引き下げや市場アクセス改善策を提示すれば、「アメリカの圧力が実を結んだ」とするストーリーが成立します。実際の影響が小さくても、政治的には大きな“勝利”として扱えるのです。
また、米国内で一部の製造業が工場を再開したり、雇用が増加したというニュースが出るだけでも、トランプ氏にとっては「アメリカに雇用を取り戻した」というアピール材料になります。つまり、貿易赤字の解消ではなく、“象徴的な成果の積み上げ”が、ソフトランディングへの鍵なのです。

出口戦略と世界経済の着地点
この関税政策を現実的に終わらせるには、「トランプが勝った」と見せかけながら実質的には政策修正を図るというソフトランディングしかありません。それを仕掛けるのは、共和党内の実務派か、あるいは日本やEUなど外交巧者な同盟国かもしれません。世界経済が持ちこたえるためには、現実と演出を両立させる出口戦略が不可欠です。

2025.4.7
甘夏ニキ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です