トランプ関税で長期では円安進行か?株価と為替に見る日本経済の行方
2025年4月、トランプ大統領が発表した日本への24%関税は、世界経済に大きな衝撃を与えました。株価や為替への影響は一時的なものにとどまらず、中小企業の経営判断にも大きく関わります。短期・長期の視点で、今回の関税がもたらす本質的な変化を見極めることが求められています。
◆株価への影響
短期的には、日本株は輸出企業を中心に売りが出やすくなります。関税により輸出採算が悪化し、製造業の業績懸念が広がるためです。一方、米国株は製造業の国内回帰による復活期待で上昇する可能性がありますが、関税がインフレを加速させると見なされれば、FRBの利上げ懸念から景気後退リスクが意識され、下落に転じる可能性もあります。
◆為替への影響
為替市場では、米国のインフレ加速が金利を押し上げ、日米の金利差が拡大すれば、円安ドル高が進行するというシナリオが一つあります。一方で、インフレが過度に進んだ結果、米国経済の減速懸念が強まれば、リスク回避からドル売り・円買いが進み、短期的には円高ドル安となる可能性もあります。加えて、米国が保護主義政策を強め、関税収入が増加し、財政が健全化するとの見方が広がれば、ドルへの信認が高まりドル高要因となります。また、関税によって米国内の輸出関連企業が持ち直すと、輸出が伸びてドル需要が高まり、これも長期的には円安を後押しする要因となる可能性があります。日本側は景気後退により金利を上げにくく、金利差は構造的に広がりやすいため、中長期的には円安傾向が続くと見られます。
◆まとめ
今回のトランプ関税は、市場の不安定化を招き、短期的には日本株安や円高といった動きが予想されます。しかしながら、金利差の拡大、米国の保護主義によるドル需要の増加、米国輸出企業の競争力回復といった要因により、中長期的には円安が進行する可能性があります。円安の進行は関税でダメージを受けた日本の輸出関連企業にはプラスに働き結果的に日本株も持ち直す可能性もあります。中小企業経営者としては、短期的な変動に翻弄されず、為替リスクやコスト構造を踏まえた上で、先を見据えた戦略の構築が重要になるでしょう。
2025.4.5
甘夏ニキ