通貨の世界シェアと政府債務から見た為替相場

為替相場は、金利差、経常収支、マネタリーベース比、購買力平価など、多くの要素によって決定されます。
特に2国間の通貨供給量の比率であるマネタリーベース比は長期的な為替の決定要因と言われています。
しかし、今回は、もっとシンプルに通貨の世界シェアと政府債務の規模という2つの要素に焦点を当てて考えてみましょう。
政府債務残高は最終的に元本と利息というお金が返還されることで世の中の貨幣の供給量がその分増えることになります。疑似的な将来の貨幣の供給量ともいえます。

まず、通貨の世界シェアについてですが、日本円の通貨シェアは8.3%、米ドルのシェアは44.2%となっています。
次に、日本の政府債務残高は、2023年には1,270兆円です。一方、アメリカの政府債務残高は、2023年2月時点で約33.2兆ドル(4,648兆円)です。

米ドルのシェアは日本円の5.5倍もあり、米国政府債務は日本政府債務の4倍しかありません。つまり日本円は世界の通貨に占めるシェアのわりには債務の比率が大きい国だと言えます。
このモデルを参照にすると米国ドルと比較すると日本円は将来に渡ってやや供給過多気味であると言えます。

あくまで一つの指標ではありますが、このシンプルなモデルに基づけば、日米の通貨シェアの比率と日米の政府債務残高の比率が近ければ両国の為替は安定的と言えるかもしれません。
また、自国通貨の世界シェアを超えて一国が極端に国債を増発し続け、政府債務を大きくしていくことは、永続的な通貨安を引き起こす危険性があると言えます。
したがって、国債の発行は無制限に行うのではなく、他国と歩調を合わせながら、慎重に行うべきだといえます。

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