「テクノロジー大国・日本」構想、未来を切り拓くグランドデザイン
◆日本再生に必要なグランドデザイン
少子高齢化、人口減少、投資の停滞、物価高騰――。 今の日本社会には、なんとなく未来に希望が持てない、そんな「閉塞感」が広がっています。 「このまま緩やかに衰退していくのではないか」。 そうした空気が、経済にも、政治にも、若い世代にも影を落としています。
だからこそ今、政府が掲げるべきなのは、単なる対症療法ではなく、国としての未来を示す力強いビジョン、すなわち「グランドデザイン」です。
◆「テクノロジー大国・日本」という旗印の確立
政府が今こそ掲げるべきは、「2050年までに日本を世界一のテクノロジー大国へ導く」という国家戦略です。日本はすでにロボット技術、半導体製造装置、水素技術、宇宙産業、バイオテクノロジーなど、多くの分野で高い技術力を持っています。これらを国家戦略の中心に据え、産業界や研究機関とともに成長を加速させることで、世界で競争力を発揮できます。
この構想は単に“技術立国”を目指すというだけではありません。 テクノロジーによって外貨を稼ぎ、その利益を国内に循環させ、社会保障・教育・地方経済まで支える。 そうした「攻め」と「守り」が両立する循環型の国家モデルを、政府主導で描き、国民に示すことこそが必要です。
◆未来を創るための環境整備
「テクノロジー大国・日本」の実現には、スローガンだけではなく、具体的な環境整備が不可欠です。そのためには、「人材」「資本」「知」「データ」の四つの要素が連携し、循環する仕組みを構築することが重要です。
高度な技術革新を可能にするためには、世界と競争できる人材を育成し、教育制度の改革とリスキリングを推進する必要があります。また、成長分野への投資を誘導し、スタートアップ企業が躍進できる支援策を強化することが求められます。
さらに、大学や研究機関との連携を深め、研究成果を迅速に社会へ還元する仕組みを整えることで、技術開発がより実用的になります。そして、国際基準に準拠したデータの活用と保護を徹底することで、日本の技術を世界市場に適応させることができます。
◆国内外への発信と国際競争力の強化
「テクノロジー大国・日本」構想を成功させるためには、国内にとどまらず、世界に向けて日本の技術競争力を示すことが欠かせません。政府は、日本企業や研究機関の技術を世界に紹介する戦略的なプロモーションを展開するべきです。
例えば、国際展示会や技術カンファレンスへの積極的な参加を促し、日本の技術力を世界に広める努力が必要です。また、海外の研究機関や企業との共同プロジェクトを推進し、日本の技術開発拠点をグローバルに拡大することも有効でしょう。
◆財政出動は「未来への投資」として機能させよ
こうした国家戦略を支えるためには、一定の財政支出が必要ですが、これは単なるコストではなく「未来への投資」として捉えるべきです。
政府がテクノロジー産業の育成や環境整備に積極的に投資を行えば、外貨獲得力は高まり、通貨の信認が保たれ国債発行の余力が増します。税収の増加や社会保障の安定にもつながります。結果として、政府債務の負担も中長期的には改善される可能性があります。
◆国が未来を描く覚悟を
今、日本が必要としているのは、明確な未来への設計図です。「2050年までに日本を世界一のテクノロジー大国へ導く」というグランドデザインを掲げ、環境を整え、国内外へ発信し、戦略的な財政出動を行うことが不可欠です。日本が持つ技術力を最大限に活かし、持続的な経済発展を実現するために、今こそ政府が本気でこのグランドデザインを推進する必要があります。
2025.4.16
甘夏ニキ