躊躇ない一時解雇レイオフ!新陳代謝が高すぎる米国企業に日本企業はどう太刀打ちすればいいのか?

日米企業の解雇事情

最近ツイッター社やメタ社、アマゾン社の大規模な一時解雇(以下レイオフ)が話題になりました。ただ米国ではレイオフは珍しいことではなく過去にも大手企業が大規模レイオフを頻繁に実施しています。業績が悪化すると躊躇なくレイオフするのです。特に米国のIT企業が集まるシリコンバレーではどんなに優秀な人でも一度はレイオフされるといいます。それだけ当たり前のことの様です。

日本には法的にレイオフは存在しませんが近いものと言えば整理解雇(いわゆるリストラ)があげられます。つまりレイオフもリストラも企業側の業績悪化による解雇です。ただ日本の場合、解雇規制が厳しく簡単に解雇は出来ません。整理解雇も業績がかなり悪化してからそれも厳しい要件を満たしてやっと認められます。

流動的組織を持つ米企業にはどの国も対抗できない

最近の米国テック企業群(ITテクノロジーを利用した企業)は株価も冴えずこのレイオフだけ見るとテック企業の代表格GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の不振に目が行きます。しかし筆者が注目しているのは不振の事ではなく、この躊躇ないレイオフによる新陳代謝のスピードです。採算の取れない部門や人員を素早く入れ替えることで時代の流れに取り残されないように手を打ち続けているのです。30年前に今のGAFAと同じく世界の時価総額のトップ10を牛耳っていた日本企業群とは真逆です。日本企業はバブル崩壊以後、変われずに凋落し続けました。

日本企業がここまで流動的な組織を持つ米国企業に対抗する術はあるのでしょうか。

もちろん日本企業自体がこれまでの終身雇用で年功序列、新卒一括採用を改めて、柔軟で流動的かつ多様性のある組織に生まれ変わることが第一に求められます。ただ先に述べた通り日本では解雇規制が厳しく米国ほど容易に解雇はできず、米国企業の高すぎる流動性にはとてもじゃないですがついていけません。これは日本だけでなく欧州も中国も含め全世界が米国企業にはついていけないはずです。

だからこそ1990年代以降米国企業が日本企業に取って代わり世界の時価総額のトップを占め続けているともいえます。

ここで筆者は感じたのです。
これってどんなに素晴しい会社を作ってもレイオフという秘奥義が使える米国企業には勝てないのではないか…

ここにきて潮目が変わりつつある

これまで米国企業が強かった分野はAI、ブロックチェーン、ビックデータなどデジタル革命を牽引してきた分野です。端的にハード・ソフトでいうとソフトの分野です。これらソフトの分野ではクリエイティブな人材や優秀なエンジニアの確保など企業の多様性・柔軟性・流動性の高さが物を言います。

これから第4次産業革命の大波が本格的に押し寄せモノとネットがつながるIoT化が益々進みます。これまでのIoTはせいぜい家電ぐらいでしたがこれから自動車、機械、ロボットなどよりリアルでシリアスな領域、いわば安全性が担保されなければ繋げられない領域へとシフトしようとしています。ここで遂に日本企業の出番と言えます。日本企業が得意とするオペレーショナル・エクセレンス(現場力が極限まで高められた状態)なハード分野が活きてきます。このオペレーショナル・エクセレンスを獲得するのはレイオフを頻繁に使う米国企業には無理です。複雑な機械は現場の擦り合わせ力が必要で精巧な部品の生産は経験曲線効果が効いてきます。それなりに長く現場に精通した人材が必要になってきます。

ハード×ソフトの組織能力を日米どちらの企業が早く獲得できるかが今後の第4次産業革命のカギになりそうです。

…と思えばレイオフが使えない日本企業は悲観する必要はなくこれまでの異常なほど硬直的な日本型経営と異常なほど流動的な米国型経営の中間、ハイブリット型を目指していくことが答えと言えます。

※最後に忠告しておくとIoT化がリアルでシリアスな領域にシフトしても日本企業お得意のオペレーショナル・エクセレンスは絶対ではないということです。職人の技ともいえる経験曲線効果や自動車などの擦り合わせ力が必要なインテグラル化もイノベーションにより淘汰される時代がいずれやってきます。

参考文献

冨山 和彦. コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える (文春e-book) (pp.127-128). 文藝春秋. Kindle 版.

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