DXの本質はアーキテクチャーの変革!経営者の皆さん今やってるDXはただのごっこですよぉ
今回は中小企業向けにDXデジタルトランスフォーメーションについてお話します。細かい手法ではなく本質的な考え方です。DXを始める際、手法を理解していても本質を理解していないと初めのうち想像以上にコストや労力を使い、する意味あるのかと疑心暗鬼に陥り途中で力尽きます。
今回お話しするDXの考え方は経営コンサルタントの冨山和彦氏のアーキテクチャー(産業構造)の考えを元に筆者なりの解釈でDXと結び付け紐解いてみました。冨山先生の考え方と違う部分があるかと思いますがあくまで筆者の意見ですのでご了承ください。
目次
最近のDX事情
DXはコロナ禍でリモートワークの普及などにより一気に広がったように思えますが、2022.9月現在、なんとなく下火に感じるのは筆者だけでしょうか。YouTubeでDXに関する動画を見るとコロナ禍の配信がピークで最近アップされた動画はほとんどありません。しかも中小企業のほとんどはDXを導入しても利益に結び付いておらず、せっかく導入したのに辞めていってる企業も多いようです。DX疲れというやつですかね。
理由はなぜか。筆者的には、ほぼほぼ答えはこれに行きつくと思います。
【社長が本当のDXを理解していない】
しかも社長がというとこがポイントです。
DXは社内の一部門だけでするものではありません。社長がDXを理解してビジョンを示さないとただの“DXごっこ”になってしまいます。
DXの本質はアーキテクチャーの変革
DXをただの経費削減・効率化のツールと思っている企業はさすがに少ないと思いますが、集計や分析が楽になったとかオンラインで会議ができるようになったとかで終わってしまっていませんか。それはただのデジタル化つまりデジタイゼーションまたはデジタライゼーションと言われるものでしかありません。DXの究極目標はこれまでアナログだった産業構造がデジタルで全く違ったビジネスモデルに移行することを意味します。端的に言えばDXで世の中の商売方法が変わるということです。専門用語でアーキテクチャー(産業構造)が変わるといいます。本当のDXはアーキテクチャー(産業構造)そのものを変えてしまいこれまでのビジネスモデルが通用しなくなる世界を言います。
アーキテクチャーの変革例
例1.iPhoneの登場
アップルのiPhoneの登場は最も衝撃的なDXと言えるでしょう。携帯電話で世界の先頭を走っていた日本メーカーのガラケーはiPhoneによって全滅しました。これまでのガラケーはドコモ、au,ソフトバンクの3大キャリアの独自のサービスをユーザーは利用していました。メーカーも3大キャリアの仕様に沿って機種を開発していました。しかしiPhoneはキャリアフリーです。パソコンと同じようにユーザーが任意のアプリを入れ様々なサービスを受けることができSNSで全世界のユーザーと繋がれるようになりました。iPhoneの登場でアーキテクチャー(産業構造)が丸ごと変わったのです。
例2.EC(電子商取引)の登場
筆者は農業に従事しているので農業の分野でDXを上げるとするとまさにEC(電子商取引)の登場がDXと言えるでしょう。これまで農作物はJAや卸市場を通して消費者に届けられていましたがEC(電子商取引)の登場で直に生産者と消費者を結ぶことができるようになりました。EC(電子商取引)を利用したプラットフォーマー企業も食べチョクやポケットマルシェを筆頭に続々と誕生してきておりこれらプラットフォーマーはコロナ禍を境に急激に成長してきました。一方EC(電子商取引)によってアーキテクチャー(産業構造)を変えられたJAは農作物取引のシェアを年々奪われて行っています。
その他、メルカリ、ウーバーイーツ、ネットフリックスなどもDXでアーキテクチャー(産業構造)を丸ごと変えてしまった企業群と言えます。
トップがまずビジョンを示す
社長が考えなくてはならないのはDXによって将来どのようなことが起こりえるのか。そこで優位性を発揮する為、自社はどう変わっていかなければならないのかです。DXを活用したビジョンを示す必要があります。社長が本質を理解してビジョンを示しているとDX疲れを起こしてもあきらめず進めることができます。
DXを始める際、注意したいのが出来るところから始めようでスタートしないということです。冒頭にも触れましたがアナログのところにいきなりデジタルを導入すると使い勝手が悪くアナログ時代が便利だったと思いまた逆戻りしてしまいがちです。そのため社長のビジョンが必要なのです。
DXの進め方
DXの進め方は一般的に下記の3ステップで進めていきますが、繰り返しになりますが③によるビジョンをトップが示して進めなければならず、筆者的に③→①→②が正しいのではないかと考えています。
- デジタイゼーション
…アナログからデジタルへ、今まで紙媒体などアナログで行っていた作業をデジタル化で効率化する
- デジタライゼーション
…手動から自動へ、今まで人が行ってきた作業をデジタル化で自動化させ効率化させる
- デジタルトランスフォーメーション
…ビジネスモデルそのものを変革し競合優位性を図る
大企業のDXにはCXが必須
これまで中小企業のDXについて説明してきましたが実は大企業の場合DXの本質はほぼ全ての企業で頭では理解できていると筆者は考えています。では大企業はアーキテクチャー(産業構造)変えたい放題じゃんと思えますがそうなっていません。なぜか。それは、大企業はDXを頭ではわかっていても組織能力的に体がついていけていないからです。大企業の場合、先のDXの進め方の①と②はかなり進んでいると思われますが③の本当のDXを達成するには会社のガバナンス(企業統治)そのものをDXが生まれやすいようにまたは、DXに合わせて根幹から変えなければなりません。この企業の根幹からの変革をCX(コーポレートトランスフォーメーション)と言います。企業がCX(コーポレートトランスフォーメーション)するまでDXは生まれずただのごっこになってしまいます。
これまでの日本型経営はピラミッド状のヒエラルキー経営です。新卒一括採用の終身雇用で同質的で連続的組織です。大量生産大量消費の製造業全盛期ならオペレーショナル・エクセレンス(業務オペレーションが磨き上げられた状態)が極めて高い日本企業は成功していました。2000年以降は物を単に造って売る時代からその物からどんなサービスを提供できるかの時代に入りました。このことから日本型経営が独創性とスピードが勝負のDXの時代に対応できるとは到底思えません。しかも組織が大きいがゆえに変えられないジレンマもあります。これが日本の大企業の現状なのです。
とはいうもののこの日本型経営はかなり崩壊してきておりCX(コーポレートトランスフォーメーション)を成し遂げ柔軟な組織体制に変革してきた大企業も多く出てきています。ソニーグループや日立がそうです。こうした企業は近い将来DXでアーキテクチャー(産業構造)を変えうる可能性があると筆者は感じています。
まとめ
①DXの本質はアーキテクチャー(産業構造)を変えること
②DXに取り組まない企業は淘汰される
③社長が先ずDXによる経営ビジョンを示す
④社員はビジョンを信じデジタル化を推進する
⑤旧来型の日本型経営ではDXは生まれないCX(コーポレートトランスフォーメーション)を行い流動的で柔軟な企業組織を創る
2022.9.26