キーエンスに続け!強さの秘密
□キーエンスを知る
私は、いろんなランキングが好きで、以前は、よく株式時価総額ランキングなんかをチェックしていたものです。ここ2.3年は興味が薄れ、チェックもせず株式市場の動向に疎い日が続いていました。7月のことですが、久々に日本の株式時価総額ランキングをのぞいてみるとあまり聞かない会社名が。。。キーエンスです。時価総額ランキング3位です。遅れているとは承知ですが、キーエンスは私には馴染みがなくなんとな~く聞いたことがあるくらいでした。えっ!と思いました。これまでランキングを独占してきたのはトヨタ、ソフトバンク、ソニーなど日本を代表する大手メーカーばかりでした。そこに突然のキーエンスです。
キーエンスは、各種製造工場の生産効率をバックアップする、センサーなどを手掛けるFA機器の製造販売メーカーです。BtoBビジネスなので、私同様、一般の方にはあまりなじみがなく聞いたことがない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
□キーエンスの株がなぜここまで買われているのか?
調べてみるとこの会社、ちょ~う優良企業でした。
まず財務状況が極めていいのです。キーエンスの自己資本比率は、90%以上、ほぼ借金がありません。これは、キーエンスがファブレス企業(自社で工場を持たず製造を外注)であるため、設備に対する負債が極めて少なくできることがあげられます。
さらにさらに!営業利益率が50%以上という驚異的な収益性を誇ります。普通、製造業は5%くらいですがキーエンスは売り上げの半分は利益です。これはキーエンスが、他社にない高付加価値でオンリーワンの製品を製造販売しているためです。これを可能にしているのは、製品の販売を販社や代理店を挟まず顧客と直接取引を行う直販体制をとっているためです。そのため、顧客のニーズや課題に直接対応できるコンサルティング営業ができるのです。さらに、こんなオンリーワンの製品であるならば、価格は言い値で販売できるはずです。どんなに高くてもキーエンスの高付加価値製品で、それ以上の生産性の向上が見込めれば顧客は喜んで購入してくれます。
また、社内環境も高付加価値製品を生み出せる環境にあるように思えます。キーエンスの社内共通の考え方に“最小の資本と人で最大の付加価値をあげる”があります。この共通の考え方が高付加価値製品や財務の高収益につながっているように思えます。また小グループごとによる研究開発、上下関係のないオープンな職場環境に力を入れているようで、これらが、モチベーションの向上や活発な議論、新しい発想につながってくるんだと感じました。
□驚きの年収
株価上昇には、驚きが必要です。超優良な財務基盤にも驚いたのですが、私が最も驚いたのは、社員さんの年収です。その額、驚きの2,100万円!平均年収日本1位です(現在は2位)。すごい!この額を可能にしているのは、前述している通りキーエンスの高収益とオンリーワンの高付加価値製品です。利益はしっかり社員さんに還元、いいことです。デフレで長期低迷に陥っている日本社会の中とは思えません。従来の日本企業とは、一線を画していて目立ちすぎです。
□キーエンスに続け!
ここまで、キーエンスを分析してきましたが、キーエンスのここ数年の、売上や株価の上昇スピード、勢いから、米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を彷彿とするものがあります。もっともGAFAは、いずれも世界最大級の株式時価総額をほこるITプラットフォーマーで、売り上げもキーエンスの20倍~40倍。比較にならないくらい大きいです。ただキーエンスには、驚異的な財務基盤を背景に、毎年積み重なっていく巨額の貯蓄(内部留保)があります。その額1兆7千億円、アマゾンの内部留保が3兆円程度ですので、すでにアマゾンの半分を超えました。これだけの額があれば、これからどんなことでもできそうです。今後のキーエンスに期待です。
キーエンスに限らず日本メーカーは、まだまだ可能性を秘めています。ご承知の通り日本メーカーは、家電製品の製造販売で2000年以降アジアの周辺諸国に取って代わられました。家電などの単純組立製品は、技術力の有無より低賃金の労働力を持てるメーカーが有利だったからです。しかし組立工場などの製造業を支えるのは、製品の製造を可能にする設備、材料、素材です。これらは、当然、高付加価値で高品質のものが好まれます。つまり長く培ってきた技術力がなければ生まれません。製造業をバックアップする企業は日本には、たくさんあります。このような企業がどんどん目立って市場価値を上げていくと、いずれ日本のGAFAが出てくる日も近いような気がします。
まあ色々言ってきましたが早い話が、とにかく“目立て”ってことです(‘ω’)ノ
令和2年11月17日